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司法書士 田口司法事務所 スタッフブログ

 

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ポリーニの偉業

No.132  平成26年12月22日(月)

 

世界的なピアニストであるマウリツィオ・ポリーニが、39年の年

月を経て、ついにベートーヴェンのピアノ・ソナタの全曲録音(全

32曲)を完結させ、全集という形で発売しました―同時に、これ

まで1枚1枚購入してきた愛好家のために、最後の1枚(第16番

から第20番を収録)も分売されました―

ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集は数多(あまた)あれども、
これだけの
年月をかけ、そして、これだけの完成度を誇る全集は空
前絶後でし
ょう。

 

ポリーニというピアニストのことはご存知の方も多いと思いますが、

改めて紹介しますと、1960年、当時最年少の18歳でショパン

コンクールに優勝、名ピアニストである審査委員長のルービンシュ

タインから、「審査員の誰も彼のように巧く弾けない」と絶賛され
ま
した。

すでに名声は手の中にあり、華々しくスター街道を邁進するかと思

いきや、「このままでは音楽家として成長しない」と考え、勉強と
研
鑽のため一度表舞台から姿を消します(再起不能説まで流れたほ
ど)。

 

10年の時を経て、ストラヴィンスキー等近代作品集と、ショパン
のエチュード集のレコードを立て続けに発表し、再
び表舞台へ躍り
出たのは1970年代になってから。この再デビューは、
ショパン
コンクール優勝時をはるかに凌ぐ衝撃的なものとなりまし
た。

完璧な技巧に裏付けられ確信に満ちた演奏。大理石にもたとえられ

る硬質な輝きを放つ音色。

特にショパンのエチュードは、「これ以上何をお望みですか」とい
う
音楽評論家吉田秀和氏のキャッチコピーとともに、日本でも大き
な
反響を呼び、未だに決定盤として揺るぎない地位を築いています。

 

だいぶ前置きが長くなりましたが、ポリーニがベートーヴェンのソ

ナタで最初にとりあげたのは、後期の作品である第30番と第31

番(1975年録音)。

通常であれば、「月光」や「熱情」のような有名どころから録音を
開
始し、後期の作品はある程度キャリアを積んだところで、満を持
してとりあげることが多いものです。ところがポリーニ
は、いきな
り後期の作品を録音したため、この録音は全曲録音を見
据えたもの
ではなく、現代音楽も得意とする彼が、ベートーヴェン
のソナタの
中で、最も現代音楽と親和性の高い作品を選び単発で録
音したもの
であると私は思っていました。

しかしその後、ぽつぽつとソナタの録音が発表されるにつれ、「も
し
かしたら全曲録音が完成するのでは」という淡い期待を抱いてい
た
ことも事実です。

 

私は、ポリーニの新譜が発売される度、1枚1枚買い揃えてきまし

たので、今回の全集は敢えて購入する必要はなかったのですが、全

集という形で所有したいという強い思いに駆られて購入、スピーカ

ーの前で居住まいを正して全曲を聴き直しました。

録音状態はもちろん、ポリーニの演奏スタイルにも変化がうかがえ

ますが、不思議と不統一感はありません。楽聖と向き合うポリーニ

の覚悟と厳しさが、そこに一貫として刻印されているからです。

 

ポリーニのピアニストとしてのキャリアをほぼ俯瞰できるベートー

ヴェンのピアノ・ソナタ全集。

変わったものと変わらないもの。変えてはならないもの。

彼のピアニストとして、人間としての来し方に思いを馳せながら、

今年のブログの締めくくりとします。

 

 

今朝のお供

飯野明日香(秋田市出身のピアニスト)の『フランス・ナウ』。

飯野明日香さんは、私がお世話になっている税理士長谷部光重先生、

長谷部光哉先生ご兄弟の姪御さんです。この度、本作品で、第52

回レコードアカデミー賞(現代曲部門)を受賞されました。おめで

とうございます。

                       (佐々木 大輔)

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