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恍惚と不安のもとに
No.15 平成22年6月14日(月)
こんにちは。田口司法事務所です。
佐々木倫子著の漫画『おたんこナース』にこんなお話があります。
主人公の看護師は作家太宰治の大ファン。そんな彼女が偶然、見た目が
太宰そっくりの入院患者さんを担当することになります。
太宰そっくりの入院患者さんを担当することになります。
彼女はその患者さんに憧れの太宰を重ね合わせ、淡い恋心を抱きます。
「きっときれいな愛人がお見舞いに来たりするんだろうなあ」などと想
像するのですが、残念ながらその患者さん、彼女のイメージとは全く一
致しません。
像するのですが、残念ながらその患者さん、彼女のイメージとは全く一
致しません。
「勝手な妄想だったんだ」と彼女は自分に言い聞かせると、恋心を捨て、
看護師としての仕事に徹する決意をします。
・・・・・・
退院の日。その患者さん、見送りに出た彼女のもとにすっと歩み寄ると、
彼女の耳元でひと言、「グッドバイ」。
主人公の彼女のみならず、多くの太宰ファンを悶絶(?)させる秀逸な
お話です。
お話です。
実は、私も悶絶させられたファンのひとり。太宰の作品は、10代の頃、
読み耽りました。今でもこの時期になると手に取ってしまいます。
読み耽りました。今でもこの時期になると手に取ってしまいます。
太宰に再会できる喜びに顔を紅潮させて本を開くと、当時の書き込みや
傍線があちらこちらに見つかり、たちまち赤面。
傍線があちらこちらに見つかり、たちまち赤面。
それでも、多くの言葉に励まされてきたんだなあとの感慨に、今度はし
んみり。
んみり。
ひとつ紹介しましょう。
「人間のプライドの窮極の立脚点は、あれにも、これにも死ぬほど苦し
んだことがあります、と言い切れる自覚ではないか」
(『東京八景』より)
んだことがあります、と言い切れる自覚ではないか」
(『東京八景』より)
太宰は、人間の弱さに対し、誰よりも敏感で、優しいまなざしをもった
作家でした。
作家でした。
6月19日。桜桃忌。
今日の最後のあいさつも、『津軽』から太宰の言葉を拝借して。
「命あらばまた他日。元気で行こう、絶望するな。では、失敬」
(佐々木 大輔)
「命あらばまた他日。元気で行こう、絶望するな。では、失敬」
(佐々木 大輔)
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