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司法書士 田口司法事務所 スタッフブログ

 

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新年

No.78  平成24年1月10日(火)
 
今年も田口司法事務所と当ブログをよろしくお願いします。
 
さて、皆さんは年末年始をいかがお過ごしでしたか?
私の年末年始はというと、おせち料理を食べながら大晦日は紅白歌
合戦を、元日はウィーン・フィルのニュー・イヤー・コンサートを
楽しみました。
と、ここまでは昨年と全く同じです。
ちなみに、お腹周りが気になるのも昨年と一緒です。
今年はこれらに加えて、アバド指揮ルツェルン祝祭管弦楽団による
マーラーの交響曲の演奏を映像(1番から7番までのブルーレイ・
ボックスセット)で楽しみました。
昨年はマーラー没後100年の年。一昨年は生誕150年でしたの
で、2年続けてのメモリアル・イヤーでした。ボックスセットは昨
年内に観る予定でしたが、まとまった時間がとれず年明けにずれ込
んでしまいました。
 
マーラーは今や最も人気のある作曲家ですが、私は最初苦手で、高
校生の頃はひとつの楽章ですら聴きとおすのが苦痛なほどでした。
ところが20歳の頃をきっかけにその魅力に開眼し、今では我が家
には、バーンスタインが指揮したものをはじめ10種類以上の交響
曲全集があります。なぜこれほどまでに魅せられたのかは分かりま
せんが、私にとって特別な作曲家のひとりであることに間違いあり
ません。機会があれば、(遅ればせながら?)改めてマーラーの音楽
についてとり上げたいと思っています。
 
今回観たアバドの演奏は、情念渦巻く濃厚な演奏とは一線を画す、
清楚で透明度の高い演奏でした。
 
 
今朝のお供、
サザンオールスターズの曲「希望の轍」。

                      (佐々木 大輔)

申し訳ありませんが、ブログは今後しばらくの間、1か月に1回の
更新とさせていただきます。
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フェルメール

No.77  平成23年12月26日(月)
 
今月初め、宮城県美術館に『フェルメールからのラブレター展』を
観に行ってきました。フェルメールの代表作3点と17世紀オラン
ダ絵画などの作品を集めた展覧会です。皆さんご存じのとおり、フ
ェルメールは17世紀オランダを代表する画家でありながら、現存
する作品は30点余を数えるにとどまるため、展覧会の開催が社会
的にも大きなニュースになるほどです。
今回公開されたフェルメールの作品は、「手紙を読む青衣の女」「手
紙を書く女」「手紙を書く女と召使い」の3点でした。中でも「手紙
を読む青衣の女」は、今春に修復を終えたばかり。作品自体が日本
初公開であるばかりか、修復後オランダ本国に先駆けて公開された
こともあり、特に注目されていたものです。
展示された作品は、どれも鮮やかな色とまばゆい光を放ち、何百年
の時を経ているとは信じられないほど美しい輝きを保っていました。
 
他に興味深かった展示品は、17世紀当時に書かれた『ラブレター
の指南書』。告白の仕方、上手な断り方などが解説付きで載っている
のです。オランダは、17世紀のヨーロッパで最も識字率の高い国
だったこともあり、個人の気持ちや強い感情を表現できる手紙が普
及し、人々のコミュニケーションのあり方を一変させたとのこと。
ただし、当時の郵便事情から、アジアを航海中の夫や恋人へ送った
手紙の返事が届くのには、2年もかかったそうです。
 
フェルメール展を観たあと歩いた冷たい雨降る仙台の街は、全国か
ら寄せられた温かい応援で溢れていました。
「絆」という言葉、「きずな」と書くと3文字、漢字で書くと11画。
先日の『天声人語』で読み解かれたこの秘密、単なる偶然か、それ
とも・・・。
 
来年こそは素晴らしい年になりますように。
心からお祈りして、今年最後のブログとさせていただきます。
 
 
今朝のお供、
SEKAI NO OWARI(日本のバンド)の曲「スターライトパレード」。
一年の終わり、素敵な曲に出会えたことを嬉しく思います。

                      (佐々木 大輔)

売買3―担保責任

No.76  平成23年12月12日(月)
 
今回も民法の回です。
 
売買の目的物(権利及び物)について、売主が一定の保証をしてい
ることに基づく特殊な責任を担保責任といいます。この責任は、売
主の履行が終わった後に問題となります。
担保責任の中でも、特に物の瑕疵(キズ)に関する責任を瑕疵担保
責任といい(民法第570条)、最も重要なものとされています。
 
なぜ担保責任が認められるのかという法的性質については、法定責
任説と契約責任説が対立しています。
法定責任説とは、瑕疵担保責任は特定物(世界に一点物の名画など)
についてのみ特別に法律によって認められた責任であるとする説で
す。つまり、特定物の場合には、たとえ隠れたキズのあるフェルメ
ールの絵『真珠の耳飾りの少女』を引き渡したとしても、キズの無
い絵はこの世に存在しないのだから、その絵を現状のまま引き渡せ
ば義務を果たしたことになります。しかし、隠れたキズは無いと思
って買った買主の期待を保護するために、特に法律が認めた責任が
瑕疵担保責任であると考えます。
 
しかし、1970年代、この見解に対して、「特定物は瑕疵担保責任、
不特定物は債務不履行責任という区別が必要なのか」という有力な
批判がなされ、代わって主張されたのが契約責任説です。
契約責任説とは、特定物・不特定物を問わず瑕疵担保責任の適用を
認め、瑕疵担保責任の規定がないところには一般原則である債務不
履行責任の適用を認めるとする説です。民法起草者の趣旨、現在の
国際的潮流にも合致するとして、現在の通説となっています。
 
それでは裁判所はどのように考えているのでしょうか。
少し難しいのですが、現在のリーディングケースとされる昭和36
年の判例は、「不特定物売買の給付物に隠れた瑕疵があった場合、債
権者(買主)が一度受領しても以後買主が債務不履行責任を追及で
きないとはいえず、買主が瑕疵の存在を認識したうえでこれを履行
として認容し、瑕疵担保責任を問うなどの事情があれば格別、そう
でない場合には買主は受領後も債務不履行責任の追及として、損害
賠償請求・解除ができる」と判示し、契約時には知らなかった瑕疵
の存在を認識したうえで履行として認容したのでない限り、債務不
履行の問題であると判断したのです。
この判例の解釈は難しく、未だに不明確であると批判の強いもので
すが、この判例以前の大正14年の判例は目的物が「特定」されて
いるか否かを判断基準としていたことからすると、「特定」という基
準を重視しない方向に動いていると考えるのが現在の通説的立場の
ようです。
 
なお、司法試験予備校などの指導で、未だ法定責任説を通説と扱っ
ていることに対しては、あくまでも「司法試験の論文答案を書きや
すいから」という理由にすぎないとして、民法学者から厳しい批判
がなされているのも事実です。
 
 
今朝のお供、
ARCTIC MONKEYS(イギリスのバンド)の『SUCK IT AND SEE』。
友人から勧められた彼らの4枚目のアルバム。荒削りなデビューア
ルバムと比べるとかなり落ち着いた感がありますが、音楽の幅が広
がっており、私は楽しめました。

                      (佐々木 大輔)

売買2―買戻しと再売買予約

No.75  平成23年11月28日(月)
 
今回も民法の回です。
 
前回に引き続き、「売買」についてお話をします。
 
売買に付随する契約として、手付のほかに「買戻し」という制度が
あります(民法第579条~第585条)。
買戻しとは、たとえばAが所有する土地をBに売却する際、それと
同時に、「後日、Bの払った代金及び契約費用をAがBに返還して、
Aが当該売買を解除する」旨の特約をすることをいいます。
ただし、買戻しには、①対象は不動産のみ、②権利行使できる期間
は最長10年(期間を定めなければ5年以内)、③第三者に対抗する
には登記が必要、といった一定の制限がかけられています。
買戻しは、債権の担保として用いられます。つまり、AがBからお
金を借りる場合、自分の土地をBに売却し、その代金として金銭を
得ます。そして買戻期間内に、AはBに代金及び契約費用を返還し
て、売却した土地を取り戻します。仮にAが返還できなかった場合
には、Bは土地の所有権を取得できますので、Bは安心してお金を
貸すことができます。
 
民法起草者は、金融の世界で古くから行われていた買戻しを容認せ
ざるを得なかったものの、上記のような制限をかけることで、でき
るだけ買戻しの規制を図りました。
ところが、実務上、制限の多い買戻しの代わりに「再売買予約」と
いう方法を用いることで同一の目的を達成でき、判例が再売買予約
を有効と認めたことから、買戻しに対する規制は潜脱されることに
なってしまいました。
再売買予約とは、たとえばAがBに売却したA所有の土地を、将来
BがAに売り渡すこと(再売買)の予約をいいます。AがBに代金
+αを支払えば、Aは予約完結権を行使することができ、土地を取
り戻すことができます。
再売買予約は、対象も不動産に限らず(実務上は、登記ができる不
動産について運用されています)、権利行使できる期間も自由(期間
を定めなければ10年)で、仮登記で第三者に対抗することができ
るなど、買戻しに比べ制限が緩くなっています。
 
 
今朝のお供、
The Beatlesの『Please Please Me』。
友人がビートルズのBOXセットを購入したとの話を聞き、影響さ
れました。これが時代を変えた瞬間の音。タイトルのレトリックも
秀逸です。

                      (佐々木 大輔)

売買―手付

No.74  平成23年11月14日(月)
 
今回は民法の回です。
 
今回から数回にわたって、民法555条の「売買」についてお話を
させていただきます。
 
「売買」とは、当事者の一方(売主)がある財産権の移転を約束し、
相手方(買主)がこれに対してその代金を支払うことを約束すれば
成立します。コンビニでおにぎりを買う場合など、皆さんにとって
最も身近な契約ではないでしょうか。
 
コンビニのおにぎりからマイホームまで、売買契約の対象は様々で
すが、高額な売買契約の場合、簡単に契約を解除されては困ります。
そこで、我が国の民法では、売買に付随する契約として「手付」(5
57条)という契約を定めています。
「手付」とは、売買などの契約の際、一方から他方へ(売買の場合
は買主から売主へ)支払われる金銭や有価物をいいます。手付の額
は、代金の1割から2割が相場とされているようです。
手付にはさまざまな機能がありますが、主なものとして、契約成立
の証拠とされる証約手付、解除権留保の対価とされる解除手付、債
務不履行の場合の違約金とされる違約手付があります。
 
ところが、この手付、契約の際にどのような趣旨の手付であるかが
定められていない場合がけっこうあるのです。そのため、差し入れ
られた金銭がそもそも手付であるのか、また、手付であるとしてど
のような趣旨の手付であるのか、という問題が生ずるのです。
まず、手付であるかについては、その金額の多少によって判断され
ることが多いようです。代金の半分を差し入れたとなれば、それは
手付というより債務の一部履行と考えるのが自然でしょう。
次に、どのような趣旨の手付であるかについて、民法557条は、
「当事者の一方が履行に着手するまでは、買主は手付を放棄して解
約が可能、売主は手付の倍額を買主に返して解約が可能」と定めて
いますので、原則として解約手付であると解釈されます。ただし、
この規定は任意規定であるため、これと異なる趣旨の手付の合意も
禁止されていません。そこで、ある手付の合意がなされた場合、5
57条の解約手付の趣旨を排除するものであるのかどうかが問題と
なります。この点について判例は、違約手付の合意があった事案に
ついて、その手付は同時に解約手付でもあり得るという判断を示しました。
 
最後に557条について、「履行の着手」、「当事者の一方」の意義を
どのように考えるかという問題が残ります。
判例は、この問題について、履行の着手とは「客観的に外部から認
識し得るような形で履行行為の一部をなし又は履行の提供に不可欠
な前提行為をすること」という基準を示しました。
そして、履行に着手する「当事者の一方」とは誰のことなのかにつ
いては、解除される側のみを指し、自ら履行に着手した者は、相手
方が履行に着手するまでは解除権を行使できると判断しています。
 
 
今朝のお供、
The Stone Roses(イギリスのバンド)の『The Stone Roses』。
再結成の話題で持ち切りですね。

                      (佐々木 大輔)
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