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司法書士 田口司法事務所 スタッフブログ

 

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Beautiful

No.63  平成23年8月8日(月)

 
秋田市は竿燈祭りも終わり、賑わった街にも日常が戻ってきました。
少しばかりの寂寞感を伴って。
今年の東北六県の祭りには、復興への特別な思いが込められていま
した。祭りを通じて東北の団結力がまた強くなったような心強さを
感じます。
 
ところで、先日雑誌をめくっていると、世界遺産についての記事が
載っていました。世界遺産は、文化遺産、自然遺産、複合遺産に分
類されます。今年、新たな世界文化遺産として平泉が世界遺産リス
トに登録されたことも、東北に明るい希望をもたらす嬉しいニュー
スでした。平泉は東北地方で初めての世界文化遺産登録です。
また、小笠原諸島が世界自然遺産に登録され、日本の世界自然遺産
は4件目となりました。我が秋田県の誇る白神山地もそのうちのひ
とつです。
件の記事によると、日本の持つ自然遺産4件という数、小さな島国
である日本としては破格の件数なのだそうです。日本よりも登録件
数が多い国は、アメリカ、中国、ロシアなど広大な土地を持つ国ば
かり。本当に日本は豊かな自然と四季に彩られた国なのですね。
 
今日は二十四節気のひとつ、立秋。とはいえ、それも名ばかりの暑
さが続いています。
みなさん、ご自愛ください。
 
 
今朝のお供、
吉井和哉(日本のミュージシャン)の『THE APPLES』。
セルフプロデュース色が強く、oasis、PRIMAL SCREAM、ディラ
ン、そしてバンド時代のあの曲までをも詰め込んだ、ごった煮のよ
うなアルバム。
バラエティに富んだ楽曲群の中で、最後を締めくくる曲「FLOWER」

が、静かに力強く揺れています。



                      (佐々木 大輔)
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窃盗罪1―不法領得の意思

No.62  平成23年8月1日(月)
 
「詐欺罪」に続き、刑法の回は、今回から数回にわたって刑法第2
35条の「窃盗罪」についてお話しさせていただきます。
 
窃盗罪が成立するためには、No.58でお話をした故意の他に、「不法
領得の意思」が必要となります。
不法領得の意思とは、権利者を排除して所有者として振る舞う意思
である「振舞う意思」と、物の経済的用法ないしは本来の用法に従
って利用処分する意思である「利用処分意思」のことをいいます。
なぜ窃盗罪が成立するためにこの不法領得の意思が必要かというと、
不可罰である使用窃盗や、毀棄・隠匿罪と窃盗罪を区別する機能が
あるからなのです。
振舞う意思は、軽微な一時使用を窃盗罪などの領得罪(その物の経
済的価値を取得する意思をもって財産を侵害する犯罪)から除外す
る機能をもち、利用処分意思は、領得罪と毀棄・隠匿罪とを区別す
る機能をもっています。
 
とはいえ、これだけでは何のことか分かりにくいですよね。具体例
を通してみていきましょう。
まず、振舞う意思から。
判例は、返還意思がある場合は不法領得の意思が認められないとし
て、不可罰としてきました。
例えば、自転車を一時使用の目的で奪った場合、すぐに返すつもり
であれば不法領得の意思は認められません。一方、返す意思はなく、
途中で乗り捨てるつもりであれば、不法領得の意思が認められます。
しかし、「自動車」を夜間無断使用翌朝
位置
に戻しておくことを何日も繰り返した事例に対して、「相当長
時間にわたって乗りまわしているのだから、たとえ返還意思があっ
ても不正領得(不法領得)の意思が認められる」として、窃盗罪が
成立するとした判例があります。また、「元の位置に戻しておくつ
もりで」約4時間余り他人の自動車を無断で乗りまわした場合にも
不法領得の意思を認めたものがあります。
 
次に、利用処分意思について。
リーディング・ケースとして、校長を困らせる意図で学校の金庫か
ら教育勅語を持ち出して校舎の天井裏に隠したという事例に対して、
利用処分意思は認められず窃盗罪にはならないと判示したものが有
名です。「単に物を壊したり隠したりする意思があるだけでは、利用
処分意思があるとはいえない」というのがその理由で、判例は、そ
の後も一貫してこの立場を採っています。
 
なお、不法領得の意思の内容について、「振舞う意思」、または「利
用処分意思」のいずれかであるとする見解が有力に主張されていま
すが、私は、一時使用や毀棄・隠匿罪との区別を明確にするために
は、いずれか一方のみでは十分ではないという立場に立っています。
 
 
今朝のお供、
Derek and the Dominos(アメリカのバンド)の『いとしのレイラ』。

                      (佐々木 大輔)

笑ってたいんだ

No.61  平成23年7月25日(月)
 
「笑ってたいんだ」。そのとおり。いい言葉ですね。
今日のタイトルは、いきものがかり(日本の音楽グループ)の新曲
から拝借しました。
 
昨日は仙台でプロ野球のオールスター戦が行われました。
楽天イーグルスの田中投手と仙台育英高校出身の由規投手による先
発で始まった試合は、東北高校出身のダルビッシュ投手、秋田経法
大附属高校出身の攝津投手など、東北にゆかりのある選手が多く出
場し、試合を盛り上げました。
試合前に行われた楽天の嶋選手のあいさつも素晴らしかったです。
「人の力を信じて、一緒に前を向いて歩いて行きましょう」という
力強いメッセージ。その言葉に違わない一流選手の全力プレーを見
守る観客席には、笑顔がいっぱい。ファンの皆さんも大いに楽しん
だことでしょう。
 
また昨日は、テレビ番組の企画ではありますが、お笑い芸人やアイ
ドルグループが東北の被災地を訪れ、笑顔や料理を届けました。
先月私も仙台へ行ったのですが、地方紙に載っていた仙台地区のバ
ラエティ番組の視聴率が、軒並み全国平均よりも高かったことが印
象的でした。
 
まだまだ復興には困難が多く、時間もかかりそうですが、私も、人
の力、笑顔の力を信じています。
 
 
今朝のお供、
MANIC STREET PREACHERS(イギリスのバンド)の
『EVERYTHING MUST GO』。
「すべての物事は進んでいく」。
中心メンバーを失い、残りのメンバー3人で再出発を誓ったバンド
は、新たな旅立ちに「幸せにならなければ」と歌います。
タイトル曲でのHAPPY!!という叫びを聴くたび、胸が熱くなります。

                      (佐々木 大輔)

更新料について

No.60  平成23年7月19日(火)
 
7月15日、賃貸住宅の契約更新時に支払う「更新料」の効力につ
いて、最高裁判所の判断が示されました。身近な問題として以前か
ら注目されていた裁判でしたので、皆さんにとっても関心の高い裁
判だったのではないでしょうか。
 
判決の結論は、更新料が「高額すぎなければ有効」。
更新料の性質について、「一般には家賃の補充や前払い、賃貸契約を
円満に継続するための対価などの複合的な性質がある」と判断しま
した。
また、「家主と借り手との間には、更新料に対する情報量の格差があ
る」との原告側の主張に対しては、「契約書に具体的に記され、家主
と借り手が明確に合意している場合に、両者の間で情報や交渉力に
大きな格差はない」と指摘しました。
しかし、「高額すぎなければ」という結論に対する具体的な基準は示
されませんでした。
 
たしかに最近は、インターネット回線や地上デジタル放送への対応、
エアコンの完備が求められ、さらに不景気の影響もあり賃料を安く
抑えなければなかなか借り手がつかないなど、貸主の負担が大きい
という現実もあります。
今回の判決が更新料を有効と認めたことで、貸主の経済的負担が多
少は軽減されることと思います。
一方で消費者の保護に鑑みれば、更新料を名目として家賃以外の一
時金を上乗せし、不当に高額な金額を借主に負担させることがあっ
てはなりません。貸主には、今後更新料についてはもちろんのこと、
各地域特有の規約についても契約の際にしっかりと説明をする必要
が生じます。
「更新料が気に入らないならば契約時にノーと言うべき」という貸
主側の主張を通すためには、むしろ貸主は説明責任を重く課された
ものと今回の判決を受け止めなければなりません。
更新料を明記した契約書にサインを交わしただけでは説明責任を果
たしたとは言えず、明確な合意の基礎を欠く、というのが私見です。
 
 
今朝のお供、
サザンオールスターズの『世に万葉の花が咲くなり』。
なでしこジャパンのW杯世界一、おめでとうございます!
撫子は『万葉集』の時代から和歌に詠まれてきた花。日本古来の可
憐な花が、今を盛りと美しく咲きました。
                      (佐々木 大輔)

お久しぶりです

No.59  平成23年7月11日(月)
 
こんにちは。ご無沙汰しておりました。
また今日からお付き合いよろしくお願いいたします。
 
秋田は暑い日が続いていますね。
暑いのが苦手な私は、こう暑くなってくると、なかなか好きな音楽
にもゆったりと浸れなくなってしまいます。
そこで、仙台時代に素敵な音楽をたくさん教えていただいた方へメ
ールをしたところ、「モーツァルトの室内楽曲などはいかがでしょ
う」とのアドバイス。中でも「ピアノと管楽のための五重奏曲」が
おすすめとのこと。残念ながら、その方が紹介してくださった演奏
家のCDは我が家に無かったのですが、代わりにグルダのピアノと
ウィーンフィルハーモニー管楽アンサンブルによる演奏で楽しむこ
とにしました。
 
モーツァルトの音楽とともに、カズオ・イシグロの小説『日の名残
り』を読んで過ごしました。
旅に出た主人公が、その道すがら執事としての過去を振り返る様子
を、静かに描いています。読みさしのため、どのような結末が待ち
受けているのかはまだ分かりませんが、抑制の効いた描写には、か
けた音楽の音量を上げると壊れてしまいそうな繊細さが満ちており、
先を急がず、描かれている品格ある世界を少しずつ味わう方が良さ
そうです。
 
しおりをはさみ、本から顔をあげると、素敵な夕焼けが広がってい
ました。部屋にもオレンジ色が溢れる中、もう一曲、モーツァルト
のクラリネット協奏曲をプリンツのクラリネット(ベーム指揮ウィ
ーンフィル)で聴いているうち、私の休日も暮れていきました。
 
 
今朝のお供、
FOO FIGHTERS(アメリカのバンド)の『WASTING LIGHT』。
いまどき珍しくアナログで録音されたアルバムです。
その証拠に?CDにはマスターテープの断片がオマケとして封入さ
れていました。
NIRVANA(ヴォーカリストが在籍していたバンド)という大きな過
去を乗り越えて前に進もうという気迫が、「WALK」という曲から伝
わってきます。

                      (佐々木 大輔)
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