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司法書士 田口司法事務所 スタッフブログ

 

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窃盗罪4―占有と窃取

No.72  平成23年10月17日(月)
 
今回は刑法の回です。
 
窃盗罪の条文である刑法第235条の条文を見てみましょう。
「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし」と書いてあります。
つまり、窃盗罪が成立するには、①「他人の占有する他人の財物」
を、②「窃取した」といえること、加えて判例・通説は、No.62で
お話をした③不法領得の意思があることを要件としています。
 
まず、「他人の占有する他人の財物」について。
ゴルフ場内のロストボールを無断で持ち出した場合に、窃盗罪は成
立するでしょうか。
結論は、窃盗罪が成立します。ゴルファーが誤ってゴルフ場内の池
に打ち込み放置したゴルフボールは、ゴルフ場側がその回収、再利
用を予定していたものである以上、ゴルフ場の所有・占有が認めら
れると最高裁判所は判断しています。
同様に、客が旅館の客室に置き忘れた物の占有は、旅館の管理者に
帰属するため、これを持ち逃げすると窃盗罪になります。
それでは、電車の網棚に置き忘れた鞄は窃盗罪の対象になるでしょ
うか。
実はこの場合、勝手に持ち出しても窃盗罪にはなりません。電車は
一般人の立ち入りが容易な状態である限り、忘れ物は誰の占有にも
属さないため「他人の占有する他人の財物」に当たらず、窃盗罪は
成立しません。その代わり、占有離脱物横領罪(刑法第254条)
が成立します。
 
次に、「窃取した」について考えてみましょう。
窃取したとは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を
排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことをいいます。
しかし、住居や店内からの窃取の場合は、財物に対する占有者の支
配が強く及んでいることから、目的物が小さい場合でも、原則とし
て屋外への搬出が必要となります。
これに対して、留守宅のように支配力が弱い場合には、搬出の準備
があれば窃取が認められ、窃盗罪が成立します。他人の玄関先にあ
った自転車の錠をはずし、その自転車の方向を転換した時点で窃盗
罪の成立を認めた例があります。
 
 
今朝のお供、
アデル(イギリスのミュージシャン)の『21』。

                      (佐々木 大輔)
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