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司法書士 田口司法事務所 スタッフブログ

 

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考えさせられた

No.108  平成25年9月24日(火)

 

先日読んだ平野啓一郎著『ドーン』という小説は、久しぶりに読み

応えのある作品でした。

 

ご存知の方も多いかと思いますが、平野氏は大学在学中にデビュー

作『日蝕』で芥川賞を受賞。大学生の同賞受賞は、石原慎太郎(『太

陽の季節』)、大江健三郎(『飼育』)、村上龍(『限りなく透明に
近い
ブルー』)に続く4人目でした。その才能から三島由紀夫の再来
と謳
われた一方、擬古文で書かれた難解な文体により敬遠する人が多
ったのも事実です。

恥ずかしながら私も、2作目の『一月物語』までは読んだものの、

その後、平野氏の作品を手に取ることはありませんでした。

 

今回取り上げる『ドーン』は、平易な文章で書かれています。

舞台は近未来。主人公は、2033年に人類で初めて火星に降り立

った宇宙船ドーンのクルー。3年後の2036年、無事地球へ帰還

して世界的な英雄になりますが、ドーンの中で起こったある事件が

原因で、アメリカ大統領選挙を巡る陰謀に巻き込まれていきます。

 

平野氏といえば、小難しい純文学ど真ん中の作家というイメージで

したが、本作はSFエンターテインメント小説としても楽しめます。

とはいえ、単なる娯楽で終わらないのは純文学作家の矜持なのか、

ここで平野氏は、「分人主義(dividualism)」という概念を持ち出
し、
「私とは何か」というテーマに戦いを挑みます。

「分人主義」とは平野氏の造語で、個人(individual)とは分割不

可能(divideできないもの)であるという概念に対し、個人とは分

割可能な分人(dividual)の集合体であるという考え方です。

 

―対人関係や居場所ごとに、自動的に現れる異なった自分(分人)

が存在するが、これは一個の主体が様々な仮面を使い分ける「キャ

ラを演じること」とは区別される。「キャラ」は、一個の主体が場
に応じて操作的に使い分けるものであり、「分人」は向かい合う
相手
と協同的に個別に生じるものである―

平野氏はこのように考えます。

 

従来の意味での「本当の自分」に固執すれば、一個の主体ですべて

の相手や場面に対応しなければならなくなり、キャラを演じること

につながります。その結果として、人によっては、内面と外面のギ

ャップに苦しむことになってしまいます。

「私」とは、一個の「本当の自分」ではなく、それぞれが独立した

自分である各分人によって構成され、それらの自分を駆け巡りなが

ら思考する存在だと考えれば、キャラを演じることから解放され、

様々な顔を持つ自分のことも肯定することができるのではないでし

ょうか。

 

このようなテーマを、的確な表現で物語に落とし込んだ平野氏には、

「文筆家、かくあるべし」との凄みを感じました。

 

 

今朝のお供、

サザンオールスターズの曲「Ya Ya(あの時代を忘れない)」。

秋の風に乗って、夕暮れ迫る宮城の空に鳴り響いた5年振りの音。

                       (佐々木 大輔)

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『椿姫』に寄せて

No.107  平成25年9月9日(月)

 

今年はオペラ作曲家ヴェルディ生誕200年記念の年。

私にオペラの魅力を教えてくれたのが、ヴェルディの『椿姫(ラ・

トラヴィアータ)』でした。

 

原題のトラヴィアータとは「道を踏み外した女」という意味のイタ

リア語。高級娼婦の過去を持つヴィオレッタは、アルフレードから

の告白を受け、彼の純粋な愛に戸惑いつつも一緒に暮らし始めます。

しかしある日、彼女は彼の父親に、娼婦という過去が娘(アルフレ

ードの妹)の縁談に差し支えるから息子と別れてほしいと懇願され、

悲しみの中、愛する彼のために身を引く決意をします。

父の懇願を知らないアルフレードは、裏切られたと激怒しますが、

数か月後、全ての事情を知り、許しを請うため彼女のもとへ駆けつ

けます。ところが再会した彼女は、肺の持病が進行し、死を待つば

かりの状態。再び一緒に暮らすことを誓い合い、再会を喜ぶのも束

の間、彼女は「いつか素敵な女性が現れてあなたに恋をしたら渡し

て欲しい」と自分の肖像を彼に託し、息を引き取ります。

 

カルロス・クライバーという指揮者の熱狂的なファンであった私は、

彼の録音を全て聴きたくて・・・といっても、彼が公式に録音した

オーケストラ曲のCDは十指に満たず、他に(当時は興味のなかっ

た)オペラ録音が数種あるだけ。「オペラかぁ・・・」と気が乗らな

いまま、クライバーの演奏を聴きたいがために仕方なく?手にした

のが、ヴェルディの『椿姫』でした。

ところが、クライバーの希少な録音だからと毎日聴き続けているう

ち、次第にクライバーを聴くという当初の目的は薄れ、すっかり
『椿
姫』にはまってしまいました。

 

そうなると今度は『椿姫』の舞台を観たくなるのが自然の流れとい

うもので、次に入手したのがショルティ指揮コヴェントガーデン王

立歌劇場の映像です。

主役のヴィオレッタを歌うのは、ショルティが抜擢した若き日のゲ

オルギュー。その薄幸をまとう美しさは役のイメージどおり。この

舞台の大成功で、一躍世界的なプリマドンナへと飛躍したのも納得

です。ショルティの指揮も82歳(収録当時)とは思えないほど覇

気に満ちており、ときにもう少し繊細に・・・と望みたくなる部分

もあるほど。

 

このふたつの演奏により、すっかり『椿姫』そしてオペラを聴く楽

しみを知ってしまった私。その後、少しずつ好むオペラのレパート

リーが広がり、今では『椿姫』に接する機会も少なくなりましたが、

先日久しぶりにショルティ指揮のDVDを観賞。たちまち夢中だっ

た10代の頃がよみがえり、たしかにこれが私の青春に彩りを添え

てくれたのだと再確認。あの頃、心の隅々まで染み込ませた旋律は、

今も同じ輝きに満ちていました。

 

 

今朝のお供、

BON JOVI(アメリカのバンド)の『These Days』。

こちらも無条件で10代の頃の思い出がよみがえります。

                       (佐々木 大輔)

白河の関越え、今年もならず

No.106  平成25年8月26日(月)
 
24年振りに東北勢が2校準決勝に残った今年の高校野球甲子園大
会。今年こそは優勝旗が白河の関を越えるかと期待されましたが、
惜しくも両校揃って準決勝で敗退。残念ながら今年も優勝旗は白河
の関を越えることができませんでした。
それでも、近年東北勢の活躍は素晴らしいですね。直近10年の東
北勢の勝率は、関東勢、近畿勢に次ぐ3番目だそうです。
 
24年前の甲子園大会では、秋田県代表の経法大附属高校(現明桜
高校)と宮城県代表の仙台育英高校が準決勝に残りました。惜しく
も経法大附属高校は準決勝で敗退、決勝進出を果たした仙台育英高
校も延長戦の末、帝京高校の前に涙をのみました。
その後優勝旗は、東北よりも先に沖縄県、そして北海道へと渡りま
した。
できることなら、秋田県の代表校に白河の関越えを果たしてもらい
たいというのが私の本音、もっといえば母校の秋田高校に・・・。
 
2006年(第88回大会)、第1回大会でベスト4の記録を持つ早
稲田実業が、田中将大投手を擁する駒大苫小牧高校を制して初優勝
した時、早実の監督は「(優勝を)88回待ちました!」とその喜び
を表しました。
秋田高校だって、第1回大会の準優勝以来、未だにずっと待ってい
ます。それに、第1回大会準決勝で早稲田実業を破ったのは、何を
隠そう秋田高校(当時は秋田中学)なんですよ!
 
 
今朝のお供、
AEROSMITH(アメリカのバンド)の『ROCKS』。
彼らの70年代のアルバムでは、やっぱりこれが一番好き。

                       (佐々木 大輔)

暦の上では・・・

No.105  平成25年8月12日(月)
 
立秋を過ぎましたが、日本列島の暑さは収まるどころかますます猛
威を振るっています。秋田に住んでいると最高気温が40度を超え
る暑さは想像がつきませんが、異常気象は秋田にも牙をむき、「経験
のない大雨」として内陸部に甚大な被害をもたらしました。
これ以上、被害が拡大しないことを願います。
 
暑気払いの方法は皆さんそれぞれかと思いますが、私の友人の場合、
高校野球を甲子園球場で観戦することだそうです。その方は転勤で
各地を巡っているため、第二第三の故郷として応援する都道府県が
たくさんあり、毎年必ず球場に足を運ぶとのこと。
 
別の友人は、この時期毎週のように開催されている音楽フェスを巡
ることが真夏の楽しみだそうで、特に今年は、フェス以外に単独ラ
イヴも集中しており、どうやってスケジュールを組もうかと嬉しい
悲鳴をあげながら、毎日タイムテーブルとにらめっこしているそう
です。
ちなみに私も楽しみにしています。
 
熱中症に気を付けて、決して無理をせず、暑さと上手に付き合いな
がら夏を楽しみましょう。
 
 
今朝のお供、
METALLICA(アメリカのバンド)の『METALLICA』。

                       (佐々木 大輔)

昔の人の教え

No.104  平成25年7月29日(月)
 
秋田は変わりやすい天気が続いていて、急な雨や雷に気をつけなけ
ればなりません。内陸部では、記録的な大雨になっている地域もあ
ります。
 
皆さんは子供の頃、雷が鳴ると、「雷様にとられないように、おへそ
を隠しなさい」と言われませんでしたか?実はこの言葉にはちゃん
と根拠があるのです。
私はいつも雷が鳴ると、中学時代に習ったこの言葉の根拠を思い出
します。
 
雷を発生させる積乱雲は、寒冷前線に伴って発生します。寒冷前線
は通過すると気温が急激に下がるため、おへそを出しているとお腹
を冷やしてしまうんですね。だから雷が鳴ると、大人は、子供がお
腹を壊さないように「おへそを隠しなさい」と言ったのです。
また、おへそを隠すように身をかがめることで、背を低くし、落雷
から身を守ることもできます。
 
経験に根ざした昔の人の教えは粋ですね。
 
 
今朝のお供、
ジェイク・バグ(イギリスのミュージシャン)の『JAKE BAGG』。
ふてぶてしくて、生意気盛りの19歳。ボブ・ディランを思わせる
音作りは、単なる懐古趣味と片付けるには勿体ない?

                       (佐々木 大輔)
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